アイザワさんとアイザワさん
4月。『寄り添い』ましょう。
4月。
商店街は暖かな春の陽気に包まれていた。
この時期は学生さんや、新社会人の人達が新しい服に身を包んでこれからの生活に夢を膨らませながら歩いている様子が目にうつって、そのキラキラとした輝きが眩しいくらいだ。
私は、おばあちゃんが亡くなってから1、2年はそんな『夢』に溢れた人達の希望に満ちた表情を直視することができなくて、4月は仕事を休みがちになっていた。
今ではそんな事まで懐かしく思い出せるくらいに、もう『過去』の出来事だ。
私は、もうすぐ7年近くを過ごしたこのお店を辞める。
ぬるま湯のような生活に浸りきっていた私はもう『過去』に置いて、私は大切にしていた『夢』を叶えて、大切な人とこれからの人生を生きていく。
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「初花ちゃん、商品ごとの一週間の売上のデータってどう見ればいいの?」
私にそう質問しているのは茜さんだ。
私がここを辞めて介護の仕事に就くと伝えた時に、「まだ副店長の候補を決めてないんだったら、私が候補になってもいいですか?社員の試験受けさせてください。」と店長に直談判したのだ。
今茜さんは、社員登録の試験を受ける為に猛勉強中だ。
樹さんは私の夢を後押ししてくれたけど、副店長が居なくなってしまうことについてはちょっと悩んでいたから、茜さんの申し出はありがたかったみたいだ。