アイザワさんとアイザワさん
一緒に働いてほぼ一年。
彼がモテるのは知っていたけど…
常連さん達の義理っぽいのもちょこちょこあった。でも、中には手紙が付いている本気なものもあって…
「店長さんに渡して下さいね!」
彼氏へのチョコレートを渡してくれと頼まれて、接客用の笑顔がひきつる彼女の私…
朝の浮かれた気持ちはだんだん無くなって、私はすっかり沈んでしまっていた。
***
『Milky way』へとたどり着いた時には、既に気分はどん底まで落ちていた。
「わっ、初花ちゃんどうしたの?」
志帆さんが私の顔を見るなり、驚きながら声をかけてきた。
何でもないんですよ。ただ気分が落ちているだけなんです…
あぁ…志帆さん今日もキレイですね。好きな人といつも一緒に働いているその姿は、キラキラしていて眩しいくらいです…。
「あ、そうだ。お祝いありがとうね。」
志帆さんが思い出したように言った。
『Milky way』のイケメンパティシエの小山さんとオーナーの志帆さん、二人が婚約したことを伝え聞いた私はちょっとしたお祝いの品を送っていたのだ。
「いえいえ。いつも常連特権を利用させてもらってますから…」
小山さんに無理を言って作ってもらったクリスマスケーキのおかげでイブも、私の誕生日のクリスマスも忘れられないくらい素敵な日になったのだ。
これくらいは当たり前です。