アイザワさんとアイザワさん

「そろそろ、短冊も書かなきゃね。」と茜さんが短冊の束を取り出す。

そして、はい、と束を渡す。

「何色がいい?」

「茜さんの選んでくれた色でいいですよ。」

んー……それじゃあね、と言って「はい」、と茜さんは黄色の短冊を私に手渡した。

「初花ちゃんは黄色って感じね。最近明るくなったから。」

え?と思って茜さんを見る。

「最初に私がここで働き始めた時なんて、何か持病を持ってる子かと思ってたのよ。いっつも蒼白い顔してたからね。だけど、今はちゃんと明るい子だって分かるし、4月からは大変そうだけど、とっても生き生きしてるわ。」

「……ありがとうございます。」


茜さんが私のことをこんな風に見ていてくれたことに驚きを隠せなかった。

茜さんは、仲良くは話してくれるけど、鞠枝さんのようにプライベートで遊ぶ仲ではない。付き合い方も一線を引いてるように感じていたからだ。


「私の色も選んでくれる?」

と茜さんが言った。私は、どれだけ彼女のことを知ろうとしていただろう。多少恥ずかしい気持ちになりながら、それでも彼女のためにピンク色を選んだ。


「茜さん、私と違って毎日ちゃんとお化粧してるし、可愛らしいから。でも、わりと最近ですよね?アイラインまでちゃんと引くようになったの。」


私の 言葉に茜さんはなぜか赤面した。
やっぱりそんな彼女は可愛らしい人だと思う。

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