アイザワさんとアイザワさん
横になっている相澤を見る。
あらためて見るとほんとに綺麗な顔をしてるなーと思う。
起きてるときにはこんなにまじまじと見る機会なんてない。ここまで運んだことだし……と自分のイタズラを棚にあげて、ありがたくイケメンの寝顔を眺めさせてもらう。
その時、「ん……」と声を立てて、相澤が寝返りをうった。
あ、眼鏡外してあげないと。
壁側へと向いた相澤に近づき、起こさないようにそっと眼鏡に手をかける。
その時、いきなり相澤の手が持ち上がったかと思うと、眼鏡に手をかけていた私の手首をぐっ、と掴んだ。
「えっ……ちょ、ちょっと!」
慌てて手を引っ込めようとしたら、逆に強い力で引っ張られた。
「きゃっ。」
前屈みになっていた私は、たまらずベッドに膝をつく。ちょうど相澤の上に覆い被さったような体制になってしまった。
相澤の目は閉じられている。どうやら寝惚けているらしかった。
早く……早く何とかしないと!
焦りながら手首を掴んでいる手を外そうともがく。
「……かない……」
その時、相澤が何か喋ったのが聞こえた。
え?と思って顔を見る。
「……行かないで……くれ」
その目からは一筋の涙が流れていた。