アイザワさんとアイザワさん
俺の好きな人。-樹side-
夢を見ていた。
俺の好きな人の夢だ。
彼女は、いつも大切な人のそばに寄り添っていた。その人を守りたい。その一心で。
だけど辛そうな顔を見せず、いつも笑顔だった。
まるで向日葵のような人だった。
俺は、その明るさに憧れるように……いつも恋焦がれていたんだ。
***
「……つき、樹!!」
名前を呼ばれて乱暴に身体を揺さぶられる。
目を開けると、目の前にガラの悪い男の顔があった。
「……っ、何だよ?」
せっかく、いい夢を見てたのに。
「お前、いい加減に起きろよ。今日、昼からだろ?」
ベッドサイドの時計を見る。もう10時を回っていた。
「相沢さんには、もう樹は大丈夫、って連絡したからな。だから、這ってでも行けよ。」
「……何だよそれ。俺は被害者だぞ。」
あいつのせいでこんな目に遭ったのに……と不満な顔を叔父さんに向ける。
「それはそうと、樹。……お前、相沢さんに何もしてないだろうな?」
どんだけ信用されてないんだよ……
「まぁ、相沢さんも『何もなかった』って言ってたけどな。相沢さんは、生方さんから預かった大事なお嬢さんなんだから、余計な気は起こすんじゃねぇぞ。」
そう言った叔父さんの声はドスが効いていた。
本職も真っ青の迫力だ。