アイザワさんとアイザワさん
「初花ちゃんいらっしゃい。」志帆さんが形の良い赤い唇を上げてにこりと笑う。
志帆さん、今日もとってもステキです!
『仕事ができて、堂々とした、背の高い美人』なお姉さんの志帆さんに私はすっかり憧れてしまっていた。
今のところ、『背が高い』くらいしか、共通点がない所は置いといて……
週一回のおやすみが確保されてから暫く、私は「Milky Way」に通いつめていた。今では名前を覚えてもらっているくらい、立派な常連さんだ。
「美人さんは、早く覚えられるのよ。」なんて豪快に笑って言った志帆さんに『またまたー、うまいんだからー』と思いながらも気分が良くなってしまい、まんまと通ってしまっている。
志帆さんの作戦勝ち、かもしれない。
「こちらの方ははじめてね。こんないい男と知り合いなんて、初花ちゃんも隅に置けないわねぇ。」
おっと、ここにも私たちのことを誤解をしそうな人がいた……。
それともこれも作戦なのかな?
相澤が「Milky Way」の常連さんになるのは絶対に嫌なので、えへへーと曖昧な笑顔を浮かべて誤魔化すと、私は早速ケーキを選びはじめた。