アイザワさんとアイザワさん
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「Milky Way」からの帰り道、大丈夫ですから、と遠慮しても相澤は「家まで送るよ。」と言って勝手に私のアパートまでついて来た。
そんな私達は、他の人から見ると仲の良い恋人同士にやっぱり……見えてしまうかもしれない。
相澤はどういうつもりでいつまでも私をからかっているんだろう。
……好きな人がいるくせに。
今日だって私は休みだけど、相澤はこれから夜勤だ。夜勤前の休息の時間をわざわざ使ってまで、私と出掛けようとする気持ちが全く分からなかった。
アパートの部屋のドアに立つ。それでも相澤は帰らない。
「……さすがに部屋の中までは入って来ませんよね?」入りたい、なんて言われたらそれこそ理解不能だ。困ってしまう。
「言わないよ。『今日は』な。」と相澤はにっこりと笑った。
「……お気に入りのケーキ屋さんは教えました。私達が一緒に出掛けたりするのは今日で最後なんじゃないですか?もう……いい加減、許してくださいよ。」
ちょっとお酒を飲ませたくらいでここまで嫌がらせをするなんて、あんまりじゃないですか、と言って、私は抗議の視線を相澤に向けた。