アイザワさんとアイザワさん
8月中旬。
お盆休みに入った。
今日の朝日勤は唯ちゃんと茜さん。
茜さんはいつもお盆は旦那さんの実家に行くのに、今年は珍しくシフトに入ってくれた。
「翔(かける)も来年は年長さんだからねー。ママと離れるのにも少しは慣れてくれないと」
そんな柏谷家の事情もありつつ、お盆はフル出勤だなーと思っていたから、こうして暇な時期に手が空くのはありがたい。
生方さんから相澤さんに経営が変わって、相澤『店長』のおかげで余剰な在庫がずいぶん減ったけど、それでも日々の忙しさに追われて在庫置き場や備品などの整理は後回しにしていた。
私は相澤と話し合い、暇なお盆期間中にそこを片付けることにしていた。
相澤にキスをされてしまった次の日、運悪く朝日勤に当たっていた私は、動揺を隠すのに必死になっていた。しかし当の本人は……予想はしていたけど全く普通だった。
そんな普通すぎる相澤に、私の動揺もすっかり消え去っていき……私もまた普通に接することができるようになっていた。
でもあの日以来、私達の関係はちょっとだけ変化した。
それは、私と相澤が二人きりの時。
……防犯カメラの無い場所にいる時にそのちょっとした『変化』は起こる。