アイザワさんとアイザワさん
家族がバラバラになってしまったけど、私にはどうしてもおばあちゃんのせいだとは思えなかった。
喜怒哀楽が激しくなった訳でもなく、何か困った行いをする訳でもない。
ただ、昔の世界に囚われていっただけだ。
そんなおばあちゃんを見ているうちに、私に目標ができた。
介護士になろう。おばあちゃんの側にこのままいるなら、何か役に立つことがあるかもしれない。
おばあちゃんっ子で、おばあちゃんの友達と一緒に過ごしてきた私は、みんなの役に立つ仕事がしたかった。
高校を卒業した私は 介護の専門学校に入った。
その頃には、私と『母親』の関係もギクシャクしていて、おこずかいをもらうのが何となく嫌になってアルバイトを始めた。そのアルバイト先がサンキューマートだった。
そこで、心の支えもできた。
私はおばあちゃんの側にいて、毎日充実した日々を送っていた。
おばあちゃんは、通っていた精神科の先生の薦めで、週に一回病院のデイサービスに通うようになった。おばあちゃんは手作業の時間を楽しみにしていて、折り紙や藤なんかで作品を作っては私に見せてくれた。私も病院にお願いしてボランティアをさせてもらい、一緒に手伝った。
発病して3年。おばあちゃんの心はとても安定しているように見えた。