アイザワさんとアイザワさん
9月。向き合う時が来たのです。
9月。
短い夏が終わり、羽浦市には早くも秋の気配が訪れていた。
こんな季節は、休みの日だとベッドから起き上がるのも面倒になる。……時計を見ると、もう10時を過ぎていた。
いつもなら「Milky Way」に行って遅めの朝食を……なんて思ったりするけど、今日は面倒くささが勝ってしまい、行く気になれなかった。
ノロノロと起き上がり、パンをトースターに入れながら、ケトルのスイッチを入れる。
冷蔵庫からジャムとバターを取り出した。
「あ……今日でおしまい、か。」
以前『やらかし』て発注したマーマレードジャムの最後の一瓶だった。
ふと懐かしさにかられる。
おばあちゃんが作ってくれたマーマレードジャムの最後の一瓶を食べきる時は、いつもこんなちょっと寂しい気持ちになっていた。
***
私の実家の庭は季節ごとに花が咲いて、いつも鮮やかな色をしていた。
夏には大輪の向日葵が咲き誇った。
おばあちゃんが愛して、いちばん好きだと言っていた花だ。
そして、春先には夏みかんが実った。