アイザワさんとアイザワさん
「申し訳ございません」

10月。ただ…戸惑うのです。


10月。
鞠枝さんは予定通り9月の末に男の子を出産した。

「家に戻っても、お父さんしかいないからね、役に立たないわよ。」というちょっと茂之お父さんがかわいそうな理由で、鞠枝さんは仙道さんと暮らすアパートに戻って来ていた。


私は10月に入ってからシフトの調整で毎日のように店に入らなくてはならず、なかなか鞠枝さんの赤ちゃんを見に行けなかった。


一足先に会っていた茜さんから携帯で撮った写真を見せてもらい、あまりの可愛さに悶絶していたら「ほんと、女って何でも『かわいい』って言うよな。」と相澤にバカにしたように言われた。


その言葉にムッとしていると、「そういう人ほど、自分の子どもが産まれたら溺愛するのよー。」と茜さんが小声で私に言った。


……どうして、私に言うかな?


と思っていると、茜さんがうふふ、と笑いながら言った。


「唯ちゃんから、聞いちゃった。……やっぱり、あなたたち付き合ってるんじゃない。」


えっ……?何で相澤と私が付き合ってるって唯ちゃんが言ってるの?! と疑問に思っていると、次に茜さんが信じられない一言を言った。



< 89 / 344 >

この作品をシェア

pagetop