アイザワさんとアイザワさん
私は、あんなにお世話になって心から大切だと思っていた玲子お母さんのお葬式に馨さんに会わせる顔がなくて出ることができなかった。
そんな自分が弱くて、情けなくて、部屋に閉じ籠って一人で泣いた。
鞠枝さんだって……出産で延期になってしまったけど、結婚式は最初身内だけで挙式をあげて、後で親しい人だけ呼んでパーティーをすると言っていた。
『身内』に会うことのできない私を気づかってくれたのは分かっていた。
この前鞠枝さんと話した時は「もう4年も経ってる」と言ったけど、この一年間でもこんな状態だったから、エリア会議のことをとても心配してくれているのは聞かなくても分かってしまった。
「どうしたら『新しい恋』が出来るんですか?……私、もう『恋』がどんな気持ちだったかも分からないんです。思い出せないんです。」
そう私は言った。それが正直な気持ちだった。
だから『好きだ』とも言って来ない、相澤との関係を絶ちきることも、受け入れることもできずにもて余している。
そんな私に鞠枝さんはこう言った。
「心のままでいいの。難しく考えることはないのよ。初花ちゃんが『新しい恋』に踏み出せるタイミングは、きっと来るよ。」