私達の関係は
特に行くあてもないまま歩き出したのはまずかった。
ここら辺の道は全く分かっていない。
私は隣の町に住んでいて、せっかくの休日、少し息抜きにと思って出てきただけだった。
まさか、あんな少年に声かけられるなんてね…
どうせ連絡なんて来ないだろうし、電話番号くらい、いいんだけど。
今頃、芽依は何をしているんだろう。
昨日母が突然家にやって来て泊まるなんて言うからついでに芽依を預けたのはいいけど、やはり心配。
芽依は、もうすぐ2歳になる娘。
ピンクというより水色が似合う、そんな子だ。
母はどちらかと言うと適当。
私はこういう所が母に似なくてよかったと心から思っている。
そんなに芽依のこと可愛がる様子もなかったし…喜んではいたけど。
ちゃんと面倒みてくれているのか、それだけが今一番心配だった。
こんなんじゃ息抜きという息抜きもできないかしら。
家を出てから約4時間。
左手首につけた小さめの腕時計は2時50分を差していた。
家からここまで確か30分ちょっと。
4時過ぎくらいに帰ろうと思っていたけど、どうしよう。
とりあえずカフェでも探して、もう一息つこうか。
見渡す限りここら辺にはありそうもない。
この先は少し長そうな下り坂だった。
いくつかお店のような建物があるのが遠目に見える。
でも…正直そこまで行く体力がなかった。
あの子が話しかけて来なかったらもう少し休憩できてたのに。
これも仕方ないことよね、行くしかない。
ため息をつきつつも足を前に前にと進めていった。