病院嫌い〈2〉
さっきから怖くて肩が震えて、涙がさらに溢れてくる
『夏帆ちゃん、大丈夫だからね
怖くないよ………』
そう言って、私に視線を合わせながら近づいてくる
『うっ ヒック ……怖い… 来ないで グスン ヒック』
『夏帆ちゃん、こっちに座って
怖がらなくても大丈夫だよ』
優しく笑って私の頭を撫でてから、すぐちかくにあったベッドに私を座らせた
『……なぉき…せんせぃ………こ…わ…ぃ グスン』
恐怖で声が小さくなっていくのが自分でもわかる
『怖くない…怖くない
じゃあ聴診するからボタン外すね』
先生の手がボタンのほうに伸びてくる
『やだ!! やめて!!
グスッ ヒック ヒック』
そう言って先生の手を掴んだけど…力では全然かなわなくてボタンがどんどん外されていく……
『ごめんね、すぐだからな
泣かなくても大丈夫だよ』
優しくそう言って、涙をそっと拭ってくれる
『じゃあ、聴診器当てるからね』
『…やっ』
聴診器が怖いし、胸を見られるのも恥ずかしいから手で隠す
『怖いよな?』
ゆっくり頷くと……
手をギュッと握られて…なぜかそれに少しだけ安心してしまう
『怖い思いばかりさせてごめんね
こんなことばかりして俺のこと大嫌いだよね…
でも、夏帆ちゃんのためだからな』
そう言いながら聴診器を当てる
冷たい聴診器が当たる……と思っていたけど、直輝先生が聴診器を手で温めてくれたので平気だった…
そして…
『大丈夫だからリラックスしてね
ゆっくり、深呼吸だよ』
そう言った先生の顔はとても真剣で……でも、その顔の中に優しさを感じて
ほんの少しだけ恐怖が和らいだ