【短編】好き、です。
ちょうど掃除の終わりを示すチャイムが響いた。
はあ…とまた溜息をつき、水たまりが出来ている床をモップで拭く。
そのせいでモップがビショビショになってしまった。
絞ろうかと思ったが、すぐに乾くだろうという考えに至り、そのまま用具入れに突っ込んだ。
立て付けの悪い用具入れの扉を勢いよく閉め、トイレから出る。
先生になんて言われるかな。
今日は今までで一番分かりやすいからな、なんてことを思いながら廊下の角を曲がる。
きっと、その時ぼけっとしていたのが悪かったのだろう。
前から走ってきた人に気が付かず、ぶつかってしまった。
お互いによろけたものの、転びはしなかったが、
「すみません。大丈夫ですか?」
と、声をかける。