【短編】好き、です。
教室で
あれから一週間が経った。
先輩と関わるなと言われたものの、昼休みは音楽室で一緒に過ごしていた。
あいつらに言われたことを、そのまま受け入れるのが癪にさわるというのもあったが、
私の中で、この時間が居心地の良いものになっていたという事が大きいだろう。
そして今日も音楽室に行き、先輩とくだらない話をした後、ピアノを弾いてから教室に向かった。
面談期間の今週は帰りが早く、このSHRが終わったら下校だ。
先生は明日の予定を簡潔に述べると、ルーム長の号令の後、足早に教室を出ていった。
さて私も帰るか、と準備をしようと廊下に向かったのだが、
「…何やってんの?」
いきなり現れた稲沢の取り巻きが私の前の通路を塞いだ。