【短編】好き、です。
私は…っ!
「私はっ…、先輩のことが好きなのに!それも否定されてっ、もうどうしたらいいのか分からない…!」
叫ぶように言った瞬間、唇に柔らかいものが触れ、言葉を止めた。
…え?
ついばむ様な優しいキス。
「…っ葵せんぱ…んっ…」
必死に名前を呼ぶも、何度も角度を変えて唇を塞がれる。
胸が苦しくて身体中が焼けるように熱い。
自分の口から時々吐息が漏れ、静かな音楽室に響く。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
やっと口と腕が離れた時には、全身の力が抜けてしまった。
ふらりと傾いた方にいた葵先輩に体を預ける。
「な、んで…」
「これでも愛を感じない?」
どういうこと…
なんで、先輩は私にキスなんか、
「好きなんだよ。ずっとこうしたかった。それくらい…雫ちゃんの事が、好きなんだよ」