【短編】好き、です。
「はい、ここ、静かなんで」
とは言ったものの、他にも理由はあるが。
しかし、それをこの人に話す義務はない。
いちいち面倒事に首を突っ込む馬鹿はいないだろうし。
そんなことを考えていたが、川崎葵先輩は特に気にした様子もない。
「へえー」とお気楽な相づちだけを打って音楽室に入ってきた。
「あの、なんで入ってきてるんですか」
「ん?雫ちゃんと話したいから」
はあ、うん。
意味が分かりません。
そもそも、私は入ってくるなって意味を込めて言ったのだが。
最近人と喋ってないし、
…すごく疲れる。