理屈抜きの恋
「ご両親が医療関係者なのに、どうして医学の道を志さなかった?」

「幼い頃は身体が弱くて。病院は働く場所ではなく、お世話になる場所だと思っていましたから。」

「そうか。もしまた体調悪くなるようならちゃんと事前に言えよ?」

「はい。本当にすみませんでした。」

頭を下げる彼女の頭に触れ、ゆっくり撫でると彼女は目を見開いた。

その表情に少しだけ頬が緩む。
笑いかければ少しだけ耳が赤くなる所を見ると、少しは期待してもいいのかな、と思ってしまう。

でも、彼女をどう扱っていいのか分からなくなっている。
良かれと思うことは全て俺のためにしかなっていないとパーティーで嫌と言うほど思い知らされた。
それにどうやって想いを伝えていけばいいのかも分からない。
こんなの初めてだ。

仕事は仕事だから集中するけど、ふとした瞬間、想い、見てしまうのは彼女の姿だった。

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