理屈抜きの恋
そんな折、ちょうど仕事がひと段落つき、彼女が淹れてくれたコーヒーを飲んでいると、今朝持って来たお礼の品とやらが目に入った。
何気なく手を伸ばし、包装を解くと、中に見えたものに手が止まる。
「なんだこれ?!」
その声に彼女が素早く反応した。
「あ!気に入ってくれましたか?いつもこれをジッと見ていらっしゃるので食べたいのかと思いまして。良かった。気に入ってくれて。鵠沼さんにも同じものを送ったんです。気に入ってくれますかね?」
俺がいつも見ているのはそれじゃない。
彼女の事を見ているのに。
何を勘違いしたのか袋の中にはイナゴの佃煮とマムシドリンクが入っている。
「美味しいですから。ご賞味下さい。あとそのドリンクは栄養たっぷりなんですよ。万が一私の風邪が移ってしまっていると申し訳ないので、早いとこ、飲んで下さい。」
そんな風に明るく言われても、俺の体調を気遣ってくれても、この生々しいのを見て笑い返せないって。
鵠沼はゲテモノが好きだからきっと喜ぶだろうけど、俺は子供の頃から虫の類が苦手だ。
本気でどうしたものかな、と包装紙越しにイナゴを見ていると「失礼しまぁ〜す!」と甘ったるい声の受付の女性が入って来た。
「あ、片野さん。どうかしましたか?」
受付嬢は彼女の問いには無視。
真っ直ぐ俺の所に向かって来る。
何気なく手を伸ばし、包装を解くと、中に見えたものに手が止まる。
「なんだこれ?!」
その声に彼女が素早く反応した。
「あ!気に入ってくれましたか?いつもこれをジッと見ていらっしゃるので食べたいのかと思いまして。良かった。気に入ってくれて。鵠沼さんにも同じものを送ったんです。気に入ってくれますかね?」
俺がいつも見ているのはそれじゃない。
彼女の事を見ているのに。
何を勘違いしたのか袋の中にはイナゴの佃煮とマムシドリンクが入っている。
「美味しいですから。ご賞味下さい。あとそのドリンクは栄養たっぷりなんですよ。万が一私の風邪が移ってしまっていると申し訳ないので、早いとこ、飲んで下さい。」
そんな風に明るく言われても、俺の体調を気遣ってくれても、この生々しいのを見て笑い返せないって。
鵠沼はゲテモノが好きだからきっと喜ぶだろうけど、俺は子供の頃から虫の類が苦手だ。
本気でどうしたものかな、と包装紙越しにイナゴを見ていると「失礼しまぁ〜す!」と甘ったるい声の受付の女性が入って来た。
「あ、片野さん。どうかしましたか?」
受付嬢は彼女の問いには無視。
真っ直ぐ俺の所に向かって来る。