理屈抜きの恋
会長に目を掛けてもらい、副社長の専属秘書になれたのだって元を返せば最上くんがいたからだ。

それに外村さんのことで陰口を叩かれていた私を守ってくれたのは真美ちゃんと最上くんだった。

「最上くん…」

どうしてこんな事に…。

「撫子。」

副社長に名前を呼ばれてハッとする。
一つの事を考えると他が見えなくなってしまう癖は直さなければいけない。
今、副社長の存在を完全に消していた。

「俺の前で他の男の事を考えるな。」

「すみません。」

怒られるのも無理はない。
私が逆の立場だったら嫌だから。

「考えるなら一緒に考えよう。」

「え?」

俯いていた視線を上げると副社長は優しい表情で私を見ていた。

「撫子の彼氏は嫉妬深いけど、たぶん、君を守れるくらいの力はあるし、頭もある。もっと頼りなさい。」

「か、彼氏?!」

「そ。撫子は俺の女、俺は撫子の男。だろ?」
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