理屈抜きの恋
それは分からなくはない。
祖父が撫子のことを褒めた時、嫉妬をしたくらいなのだから、同性や同世代なら余計だろう。
「あの時、腹の底でたまっていたものがここぞとばかりに爆発したんだよ。あの子は何をしたわけでもないのにさ。恵まれているのも良いことばかりじゃないよな。でもどうしてそんなことを聞くんだい?」
部長は俺が撫子のことを好きで、恋愛相談をされているのだという様子で目を輝かせた。
あながち間違いではないからそういうことにしておいたが、「あの子を泣かせたら承知しないぞっ!」と怒られたのには参った。
「大丈夫ですよ。もしまた同じような状況になるとしたら、全力で守ってみせますから。」
それだけの力はあるし、想いもある。
ただ問題なのは、撫子がそうされる事を望まないことだ。
付き合いこそ短いが、撫子は自分が傷付く事よりも、自分のせいで誰かが傷付く事で傷付く子だというのは分かっている。
もし、同じ理由で最上が異動したら今度こそ撫子はダメになってしまう。
どうしたら良いか真剣に考えなければならない。
だから撫子の不在時間に最上を呼び出した。
祖父が撫子のことを褒めた時、嫉妬をしたくらいなのだから、同性や同世代なら余計だろう。
「あの時、腹の底でたまっていたものがここぞとばかりに爆発したんだよ。あの子は何をしたわけでもないのにさ。恵まれているのも良いことばかりじゃないよな。でもどうしてそんなことを聞くんだい?」
部長は俺が撫子のことを好きで、恋愛相談をされているのだという様子で目を輝かせた。
あながち間違いではないからそういうことにしておいたが、「あの子を泣かせたら承知しないぞっ!」と怒られたのには参った。
「大丈夫ですよ。もしまた同じような状況になるとしたら、全力で守ってみせますから。」
それだけの力はあるし、想いもある。
ただ問題なのは、撫子がそうされる事を望まないことだ。
付き合いこそ短いが、撫子は自分が傷付く事よりも、自分のせいで誰かが傷付く事で傷付く子だというのは分かっている。
もし、同じ理由で最上が異動したら今度こそ撫子はダメになってしまう。
どうしたら良いか真剣に考えなければならない。
だから撫子の不在時間に最上を呼び出した。