理屈抜きの恋
照れを隠すようにしてお風呂場へ逃げ込むけど、すぐ近くに涼さんがいるのだと思うとなんか落ち着かない。
一つ一つの動作をやけにゆっくり行うことで落ち着かせてみるけど、バスルームから出て、涼さんとお揃いのガウンを羽織っていることに気が付けば、またドキドキしてきた。

「温まったか?」

「は…はい。ありがとうございます。」

「何突っ立っているんだよ?こっちに来い。」

涼さんがこっちと言って叩いたのは3人掛けのソファで、端に腰を下ろすと、眉間に皺を寄せられた。

「なぜそこに座る?」

「な、なんとなく。」

「仕方ねーな。」

そう言うと涼さんは立ち上がり、私の前に立ち、そして膝裏に手をすり入れた。

「え?」

「寝室に行きますよ。ちゃんと掴まっていて下さいね。」

ギュッと掴まるとふわりと身体が浮いた。
もう何度目かのお姫様抱っこだけど、やっぱり慣れない。
しっかりしがみつくことで顔を見られずに済んでいるけど、多分、私、顔が真っ赤だ。
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