理屈抜きの恋
「赤くなるなよ。こっちまで照れる。」

「なっ…」

「何しているんだよっ!」

私の怒りの言葉より先に、最上くんの怒りが爆発した。
本宮涼の胸ぐらを掴む姿に固まっていた身体が動く。

「最上くんっ!喧嘩は良くないっ!暴力はもっと良くないっ!」

そう叫ぶと握りこぶしを作って顔の横に構えていたその腕をしぶしぶ下してくれた。

「撫子。こいつのこと、好きなのか?」

「え?」

「俺よりこいつが好きか?」

その目は私ではなく、襟元を直す本宮涼の方を向いている。
怒気を籠めて。
そのただならぬ雰囲気に圧倒されて何も答えられずにいると、私の代わりに本宮涼が答えた。

「撫子は俺の女だ。手を出すな。」

「「は?」」

「行くぞ、神野撫子。」



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