理屈抜きの恋
が、その日彼女はちょうど休みを取っていて会えず、そのせいで、ジンノナデシコという女性像はどんどんと膨らみ、気が付けばいつも彼女のことを考えるようになっていた。

そんな折、彼女に会えたのは、本当に偶然だった。

大学時代の友人の結婚式の途中、ホストの準備のために出ていたところに現社長の前川さんに出くわした。そしてそこで『専属秘書』が会場内にいるという情報を得たのだ。

「彼女は美人なのに気取らなくて、気は利くし、すごく優秀な子だよ。」

元々興味があった上に、こんなことを重ねられたら見てみたくなる気持ちを抑えきれない。

ただ俺だってバカじゃない。
人様の披露宴にお邪魔するなんて常識はずれもいいところだ。
だから会場の方へと足を運んでみたけど、会場の扉が閉ざされていて、入れる余地がなければ入らないと決めていた。

それなのに実際は立食形式で、ゲームの最中。扉は全開。
紛れ込むのには最適な状態だった。

会って来いと誰かに言われているような気がしてならず、会場に足を踏み入れた。

入り口から見る限り、女性の数はおおよそ30人。
その中から、1人の女性を探し出すのは難しい。
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