理屈抜きの恋
「じゃあ、俺、立候補しちゃおうかな。」

「え?」

「なんなら今からでもイイよ。俺、一人だから相手してくれない?」

握られていた手が両手で包み込まれてしまったら、離すに離せず、諦めてそのままの状態で会話を進めることにした。

「鵠沼さんは主催者側だから同伴者がいらっしゃらないのですか?」

「同伴者?同伴者が必要だって、涼がそう言ったの?」

首を傾げた鵠沼さんを見て同伴者の件についてさらに聞こうとしたら、鵠沼さんと私の間に副社長が現れた。

「おい。手を離せ。」

「涼。お前、同伴者って…」

鵠沼さんの手を取り、無理やり私から引き離すと、副社長は鵠沼さんに無言の圧力を掛けた。
その姿を見て、同伴者の件で質問に答えてくれなかった意味がなんとなく分かった気がした。

「本宮副社長。同伴者は必要なかったのではないですか?嘘を付いたのですか?」

私に背を向けた副社長に変わり答えてくれたのは鵠沼さん。

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