理屈抜きの恋
それからパーティーの開始が宣言され、鵠沼社長に挨拶に行き、お孫さんである鵠沼さんと副社長と行動を共にして過ごす事1時間。
鵠沼さんの会社の社員と思わしき女性たちからの視線をちょいちょい感じるようになった。
やはり女除けの役割を果たすのは大変だ。
鵠沼さんとの共通の趣味が見つかったから話をしているのはすごく楽しいけど、立っているだけなのに、すごく疲れる。
アルコールが回っているせいで暑いし。
一回気分をリフレッシュするためにトイレを口実に屋外へ出ると、冷んやりとした空気がすごく心地よかった。
外に設けられたベンチに腰掛ければ、身体が楽になる。
自覚している以上に疲れがたまっているらしい。
でも、パーティー自体は残りわずかだ。
あとひと踏ん張りだ、と気合いを入れて立ち上がり、会場に戻る。
そして二人の姿を探してみるのだけど、イケメン二人を探すのはものすごく簡単だった。
「うわ。ハーレム状態だよ…」
それでもすぐにその場に戻らなかったのは、あれはあれで何とかすると思ったから。
喉も乾いたし、新しい飲み物を取りに行ってからでも遅くない。
そう思ってウーロン茶に手を伸ばした時、副社長たちがいる方向から何やら騒がしい声が聞こえてきた。