理屈抜きの恋
熱なんかにうなされている場合じゃない。

「病院行くか?」

「いえ。大丈夫です。それよりパーティーに戻りましょう。」

ソファから立ち上がろうとすると、肩を掴まれてその場に留められた。

「それはもういい。」

「ダメです。仕事ですから。最後まできちんと参加します。」

「今日は俺のワガママで連れて来たようなものだ。だから仕事だと思わなくていい。それにパーティー自体はあと30分もすれば終わる。」

「では本宮副社長は戻って下さい。私はご迷惑にならないよう、先に帰りますから。」

「ここで少し休め。鵠沼に了承は得てある。終わり次第病院に行こう。」

「いえ。帰った方が良いんです。」

「そんなに辛いのか?」

「私の両親、医療関係者なので。」

「なるほど。じゃあ、あと30分、ここで待っていろ。俺が責任持って送るから。いいな。動いたら承知しないからな。」

有無を言わせない強い口調で私にクギを刺すと、そのまま部屋を出て行ってしまった。

迷惑を掛けてしまった事が悔やまれる。
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