理屈抜きの恋
そして少しでも童話の世界に近づけてあげられるようにドレスをプレゼントしてあげようと母親にドレスの依頼をしたんだ。

ただ、綺麗な素肌を他の男(特に鵠沼)に見せたくなくて丈の長いドレスを、と母親に話していたのに、実際に試着室から出て来た彼女はミニ丈のドレスに身を包んでいた。

注文とは違うことに少し腹が立ったけど、ドレスは彼女の身体にフィットしていて、隣にこんな綺麗な女性を侍らせることが出来るなんて、それを考えただけで気持ちは高ぶった。

でも不安は的中。
鵠沼は一瞬で彼女に落ちたし、男たちの視線もまた彼女に集中していた。
いや、男性だけでなく女性の視線までも釘付にしていたと思う。
着飾った彼女は洋風の建物と相まって、本物のお姫様のようだったから。

でもあんな風に無理をして欲しくはなかった。
熱で辛いだろうに俺に移さないように振る舞っていた姿は見ているだけで辛かった。

きちんと休んで早く元気になって欲しい。
休日の間中、それだけを考えていた。
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