「この顔見るのは“俺”限定」
あたしに言わせれば……。



そんなところも、生意気なんだよ、汐見廉っ!!



……って感じなんだけど。



いつもは、ここで、騒ぎは終了。



超生意気で有名な汐見廉の、一瞬見せる甘い顔にとろけた女の子たちが、焦点の定まらない目でふらふらと……。



自分の席や教室に戻っていくのが、汐見廉が星山高校に入学して以来、毎朝変わらないウチのクラスの光景。



それなのに、今朝は……。



「……可愛い子」



ポツンと小さく、汐見廉はつぶやいた。
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