「この顔見るのは“俺”限定」
もちろん、教室中も、予期せぬ汐見廉の言葉に、シーンと静まりかえったまま。



そんな中……。



汐見廉は、ゆっくりと顔をあたしに向けた。



女子たちがはけたから、あたし達の間に、さえぎるものはなにもない。



キレイに整った顔が、よく見える。



「『えっ!?
可愛い子っ!?』
……って、おまえ。
もしかして、興味あるの?」



意地悪そうに細められる、二重の大きな目。



生意気そうに歪められる、清潔感にあふれた口元。



そんな汐見廉を凝視したまま、あたしは、とっさに反応することができなかった。
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