「この顔見るのは“俺”限定」
それくらい悔しかった。



でも、そんなことをしようもんなら……。



繭にバレる。



口では文句を言いつつも、親身になって作戦を立ててくれる繭にも申し訳ない。



だから、体育館から一番近いトイレに向かって、ダッシュした。



きょろきょろあたりを見回して、誰もいないのを確認してから……。



――チーンッ!!!!!



大きな音で、鼻をかんだ。



ワーワーうるさいくらい、大泣きした。
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