「この顔見るのは“俺”限定」
「あれ?
おまえ。
朝から、油ものでも食った?」



「…………」



「胃腸丈夫なヤツだなー。
それとも、あれか?
俺が渡したの、愛用してんの?」



って、あたしのことをからかうだけ。



この前のことなんか、とっくの昔に忘れたかのよう。



……っていうか、最初からなかったことにされてんじゃないかとすら思う。



そのことが切なくて……。



“違うわ!
これは、グロスだわ――っ!!“



と、叫ぶタイミングを失った。
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