「この顔見るのは“俺”限定」
でも、この状態……。



どこにも、逃げ場なんてない。



どうしよう……。



怖くて、急いで目線をさげた。



「“この顔”は、他の男には見せるなって言っただろ?」



「……っ!?」



汐見廉は、壁についていない方の手で、あたしのあごをスッと持ち上げた。



――ゴクンッ。



わずかに、あたしののどが鳴る。



せっかくさげた目線が、戻された。
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