「この顔見るのは“俺”限定」
今のは、あたしの意思じゃない。



そう言おうとした。



でも、できなかった。



あたしの両頬に手を添えた汐見廉の顔が、あまりにも優しかったから。



こんなの……。



普通、彼女に見せる顔じゃない?



そう思うほどに甘い。



スッと伏せられる目の色っぽさに、きゅんとときめく。



斜めに近づいてくる顔の距離にドキドキする。



10センチ……5センチ……3センチ……。
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