「この顔見るのは“俺”限定」
「ちゃんと1周しなきゃでしょ。
だったら、こっち。
それに、繭のスマホだって、探さなきゃでしょ?」



汐見廉とは逆の方向に行こうとした。



「あのさ。
おまえ、今頃それ聞く?」



くすくす笑いながら、汐見廉はあたしの腕を引っ張った。



そして、キュッと手を絡めて握る。



「1周まわったところで、みんな、もう。
とっくにいねーし」



「……え?」



「それに、あのしっかりものの篠原が、スマホなんて落とすと思うか?」
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