「この顔見るのは“俺”限定」
まーた、あたし。



可愛くない女って思われちゃった。



しかも……。



繭に習った可愛いしぐさが、最後まで貫き通せなくて……。



化け猫の皮がはがれたとか、言われちゃった。



それに、繭にあちゃーって顔をされたように。



フンッって、顔までそむけちゃった。



胸が……ギュンって痛くなる。



鼻の奥が……ツンと痛くなる。



「……っ」



眉をしかめて、唇をかみしめ、うつむくあたしの耳に、汐見廉の声が聞こえた。
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