恋の仕方がわからない

3

「よかったね、由香。それじゃ、あたしは「おい、裕也」」

耳元で誰かの息遣いがする。声からして同じクラスの男子とかでは無い。でもどこかで聞いたことがある。







怖い……………。



「奈子」

恐怖で止まってしまったあたしの腕を由香が強く引いた。
「大丈夫?」
いつも強気の由香の瞳が大きく揺れている。
ああ、あたしの事心配してくれてるんだってなんだか他人事みたいに考えた。








中学三年の時、学校の見学も含めてこの高校の文化祭に由香と来ていて、男子の生徒達に話しかけられた。
話かけらるだけならなんともない。でもその人達は自分のクラスに客寄せをしなくてはいけなくて必死の様で、1人があたし達2人の腕を掴んで来た。
他の女子ならなんともないようなその行為もあたしは怖くて。
楽しいはずの文化祭でその人達を不快な気持ちにさせてしまった。

軽度の発作だった。少し落ち着けば治るような、そんな感じの。
でもあたしの腕を掴んだ人はすごい悪いと思ってしまったようで、保健室へ連れて行ってくれた。由香も未然に防げなかったのを自分のせいだと思っていて、それから何かと気にかけてくれてる。


今の由香の行動もそれくらいの事だと思っていた。






「あれ?…奈子ちゃんじゃん」



その人はあたしと由香に視線を向けると驚いた様に目を見開いた。







「あ………」






あの時の人だ。











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