恋の仕方がわからない
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「あ…………」
あたしも驚いて口をあんぐりと開いてしまった。まさか会ってしまうだなんて。
そりゃあこの高校に入学した時点でいつかは会うと思っていた。
でも入学してまだ一週間しかたっていないのに。
「久しぶりだね」
あたしは何も言えないのに、やっぱりこの人は大人だ。苦笑いしながらだけど、あたしの事を気遣って一歩身を引きながら、そう言ってくれた。
「お、お久しぶりです。…悠斗(ゆうと)先輩」
「ここに入学したんだね。もう来てくれないかと思ったよ」
なるべく離れて会話してくれる先輩に、先輩は変わってないなって思う。
そう、この悠斗先輩こそが去年の文化祭であたしの腕を掴んで保健室まで連れていってくれた人。
もう仕事が無いから、とかでずっと保健室でついていてくれた。
由香はなぜか悠斗先輩を敵だと思っているようだけど、あたしはもう気にしていないし、むしろ好印象な人。
「いえ。あの時は助けてもらって、この学校の先輩はみんないい人だな、って思って」
「そっか、よかった」
やっと笑顔を見せてくれた先輩。
そしてさっきまで蚊帳の外に出されていた谷口くんが不思議そうに訪ねてくる。
「兄ちゃん、笠原さんと知り合い?」
「「……兄ちゃん!?」」