課長と私
病室でのプロポーズから数日。
軽い栄養失調だった先輩は病院のご飯をしっかり食べ、
徐々に体を動かしていくリハビリを行って1週間ほどで退院することが出来た。
私はその間、毎日仕事の後に病院に通い、暇があれば先輩の部屋にいって散らかしっぱなしのものを片付けていった。
「たった3週間で、こんなに散らかるものなのかなぁ…」
脱いで脱ぎっぱなしの服やコンビニで買ってきただろうお弁当、カップラーメンがそのまま机の上に広がっている。
半同棲のときは自分がこまめに掃除をしていたから気づくことが出来なかった。
私と付き合う前はこんな感じだったのかと思ってしまう。
「結婚…か…」
今でもあのプロポ―ズが夢だったのではないかと思ってしまう。
綺麗になった部屋を見つめて、いよいよこの部屋に身を置くのだと感じる。
何が変わるでもないが、少しだけ緊張してきた。
「いかんいかん…意識し過ぎだ私…」
持ち主が帰ってきていないこの部屋で自分が暮らすイメージをする。
半同棲のときとあまり変わらない気がするが、とても幸せなイメージが出来た。
毎日彼の姿を見て、毎日彼に触れられる距離にいる。
今回のことで本当に私が先輩にとって必要されていると、
私自身も先輩を大切に思っていることが再確認できたことで私の中で少しだけ自信がついていた。
~♪
「…もしもし?」
部屋に携帯の着信音が流れる。