課長と私
秋穂のお店をあとにして、少しだけスーパーで買い物をして家に帰って来た。
問題の彼の姿はと言うと、ベッドにはなくどこか違う部屋にいるようだ。


「戻りました~……亮くん?」

「お帰り。どこ行ってたの?」

「お、びっくりした…。ちょっとお買い物です。」

「夕飯はいらないよ?」

「分かってますよ、今日のじゃないですって。」


ふーんといいながらリビングの方へ歩き出す。
微かに香水の匂いがする。


「1時間後出発でもいい?」

「はーい」


お化粧を少し直して、服を着替えなおした。
少し前に緩奈と一緒に買い物をしたときに見つけたものだ。
結婚式のゲスト用でも使えるねだなんて話していたけど、今日使っても大丈夫そうだ。

お金は……
先輩のことだから、払わせてくれないかも知れないけど気持ちだけ持っていこう。

あっという間に予定の時刻。
洗面台で最終チェックしてリビングに戻る。

先輩もいつも以上におしゃれだ。


「………。」

「…ん?」

「いや…何でもないです。」

「そう?……行こうか。」


メンズ雑誌の中の一人かもしれない。
かっこいいだなんて言ったら絶対調子にのるよこの人。

日が暮れて来たころ先輩と家を出た。

< 133 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop