課長と私
「風邪じゃなければ、インフルエンザかなぁ…あ、食あたりとかですか?」
ははは…とおどけたつもりで先生に話しかけてみたものの返答はない。
さっきから手元の書類とにらめっこしている。
「須藤さん、お付き合いしてる方がいるの?」
「へ!?」
「どうなの?」
まさか先生からそんなことを聞かれると思わなかった。
すぐ左にいる彼の姿を2秒ほど見つめてしまった。
「それは…言わないとダメなんでしょうか…」
「そうね…答えによっては…ちょっとかかわってくるかもね。」
「そ…ですか…」
もう一度チラッと彼の方を見ると今度は目があった。
言いなよ、という風だ。
「お付き合いしてる方が…います。」
「……そう。」
ふぅんと言って書類を机に置いてこちらをもう一度振り向いた。
「今から言うこと、まだ分からないけど確率は高いからよく聞いて。」
「は、はい。」
私は今から余命宣告でもされるのだろうか。
唾をごくりと飲み込んだ。