課長と私
冷たい診察台の上に乗ったと思ったら、すぐに先生との診察になり、さっきまで待合室で待っていた先輩と合流する。
周りにいるのが女性ばかりのせいか、1番隅っこの椅子に座っていた。
「大丈夫?」
「あ、はい。会社にいたときよりだいぶ落ち着きました。」
少し遅れて先生が来る。女性の先生で良かった。
「こんにちは。須藤さんね。」
「よろしくお願いします。」
「旦那さんもかけてください。」
「いえ、僕は立ったままで大丈夫です。」
先輩は旦那さんと言われても全く動揺していない様子。
こんなに意識してるのは私だけですか…
苗字が一緒になるのだってドキドキするのに…
「じゃあ、診察に入るわね。結果から言ってしまうと…」
医務室にいたときのように、唾をごくりと飲み込んだ。
なんか緊張する。
「妊娠…3ヶ月ね。」
「さ、3ヶ月…」
ドラマでよく聞く台詞だ…
いや、台詞じゃないけど…
やっぱり、妊娠してたんだ…
私のお腹に赤ちゃん、いるんだ
先生に診察されて、ようやく実感が持てた。
斜め後ろにいる先輩をみると、何かを決意したような、そんな顔をしていた。
なんとなく声をかけないでじっと見つめると、私の視線に気づいて静かに笑う。
「最近具合が悪かったのは妊娠初期におこる症状ね。今日のこともあるし…まずは1週間くらい会社休んで安静にしててください。…いいですか?周りにお子さんがいるご家庭はあると思いますが、妊婦さん全員が同じ症状で同じタイミングで状態が良くなる訳ではありません。十分に注意してくださいね。」
「1週間…ですか……」
「有給だね」
「えっ」
「有給…あとは、産休に切り替え」
「そ、そうか…」