課長と私
リビングにそのまま連れていかれるとそこには今まで見たことのないようなご馳走が用意してあった。
「お母さん、今日ほかに誰かくるの…?」
「えー?あんたたちが来たじゃない!ほらほら、楓はご飯よそって!」
「俺やるから…楓ちゃん座ってて。」
体調のことを気にしているのか席に座るよう促してくれた。
本当はちょっとだけ頭が痛かった。
優しい言葉に助けられる。
「あら~ごめんなさいね手伝ってもらっちゃって。さすがイケメンね…」
「いえ、突然押しかけてしまってすいません。このくらいでいいですか?」
「ありがとね~、私お父さん呼んでくるわ!」
「あ、お母さん……もぉ…」
彼が来てくれるだけで嬉しいのか、何だか忙しない。
しばらくしてニコニコした母と普段と変わらない表情の父が部屋に入って来た。
お父さん、ちょっと白髪が増えたかな…
「お待たせ!さぁ食べましょうか!」
「いただきます…」
いつもならこんなご馳走、嬉しくてたくさん食べられそうなのに…
やっぱり少しずつしか食べられない。
「楓、あんた悪いものでも食べたの?全然進んでないじゃない。」
「え?…あ、来る途中にちょっと食べちゃって…」
「バカねぇ、食いしん坊は昔からなのこの子!」
ふふふと笑いながら彼に話しかける。
先輩もうまく話を合わせてくれている。
どうしよう、なかなか言いづらいかも…