課長と私
「…お母さんのバカ。」
「…うるさいわね。」
「ひどいよ、結婚には賛成なんでしょ?」
「あんたね…結婚だけでも大きなことなのに、子供って…」
はぁ…とため息をついて席を立つ。
空になったお皿を片付けていった。私もそれを手伝う。
「大変なのは分かってる。でも…」
「分かってない。」
「何でそんなに強く言えるの?」
「……言ったことなかったけど、あんたは私とお父さんがまだ結婚する前に出来たの。」
持っていたお皿を滑って落とすかと思った。
「ちょ…ちょっと何それ!何でそれ、今言うかな…」
「別に隠してたわけじゃなわよ。…言うタイミングを逃してただけ。」
「じゃ、じゃあ…」
「だから!どれだけ大変なのかが分かるから…怒ってるの。」
「……。」
感情のこもった言葉が突き刺さった。
「柳瀬さんは、きっと子供が出来たからって楓と結婚しようってなった訳じゃないと思う。それは分かるの。でも、子供が1人出来るっていうことは自分にも、周りにも少なくとも影響が出るの。それをちゃんと分かってないと、楓が辛くなる。」
「…お母さん。」
「お母さんは、柳瀬さん良い人だと思う。だから、結婚は本当に賛成よ。」