課長と私
お母さんは、本当に私と彼のことを考えて怒ってくれていた。
嬉しい気もするが、今の私たちにとっては複雑な答えだ。
「どう…すればいいの。どうすれば、許してくれるの?」
しばらく自分の中で考えてみたものの
答えがまったく見つからないため、苦し紛れで問う。
「…そうね……あんたのお腹にいる子が元気に生まれてくることと、あんた達が幸せになってくれれば許してあげなくもないね。」
「そ、それって…」
「だから、さっきから言ってるじゃない。結婚には賛成って。柳瀬さんがあんたの旦那さんになるのも賛成だって。」
「お母さーん…」
目がウルウルと波打つ。
嬉しい。本当に嬉しい。
「じゃあ何でお茶なんかかけたのよぉ…」
「そ、それはちょっと気が動転しちゃって……謝らなくちゃね…」
「お母さんのバカ…」
「はいはいバカで良いわ…。ケーキ、買ってあるからあの2人呼んできて。」
「…わかった、呼んでくる!」
「走っちゃだめよ!」
「はーい」