課長と私
お父さんの部屋を出て、用意された寝室に入った。
「すいません…何か、思ってたより緊張していたみたいで…」
「ちょっとビックリした…でも、良かった。」
ぎゅうっと私を包み込むように抱きしめる。
なんだかほっとする。
それにしても…
「亮くんの部屋…じゃないんですね?」
「行きたい?」
「へ?それは…まぁ…実家ですし…」
「ベッドはシングルサイズだけど…いい?」
そうじゃないの。
私は単に亮くんの学生時代を覗きたくて…
…って、そんな言い訳は口には出さないけど。
「えっちな本とか隠してあるんじゃないですか?」
「そう…だなぁ……どこだっけ。」
「あ…あるんですか!?」
なんか…ざわつく……
いや、亮くんだって思春期はあるし…誰だって…そりゃ……
「眉間にしわ寄ってるよ?」
「だ…だって…」
「そういう雑誌は持ってない。」
「……ほん、とう?」
「さすがに見たことはあるけどね?」
「ですよね。…でも、持ってないなら……まぁ、いっか。」
「やきもちだ。」
「違います。…お父さんになる人が別の女の人の裸見てるのが嫌なだけです。」
部屋に敷かれた2組の布団の上に座る。
すぐに私の前に彼が座った。
「な、何ですか。」
「…かわいい。」
私の頬を優しくなでる。
かわいい…今、かわいいって…?
「今は楓ちゃんの裸にしか興奮しないよ?」
「そっ…そういうことは言わなくていいんです!」
「顔真っ赤。」
「ばか…」
体を引き寄せて優しくキスをした。
1回では終わらず、何度も何度も。
舌を絡ませてもっと深く………
「雅人。何してんの。」
「……っ!?」
私の顔を隠すように抱きしめる彼。
どうやら後ろに雅人くんがいるらしい。