課長と私
ep.9
「んっ…は……ぁ…んぅ…」
部屋に響くリップ音。
キスだけなのにとろけてしまいそうだ。
「朝からエロいね…」
「はぁっ……珍しく、素直に起きたと思ったら…っん」
亮くんの家に泊まらせてもらった翌朝。
いつものように強引に彼を起こしたがために反撃にあっている。
「んぅ…っ……はぁ、はぁっ…ん…っ」
「舌、もっと出して…っ」
「りょぉ…っん……ぁ」
「…はぁ………っ」
つうっと銀色の糸がひかれる。
「もぉ…っだめ、です!」
厚い胸板を押した。
不服そうな顔だ。
朝からこんなんじゃ体がもたない。
「具合、大丈夫?」
「出来ればこんなことする前に聞いてほしかったです…」
「そ?…頭痛い?吐き気は?」
「大丈夫…です!」
「わっ」
仕返しに抱きしめ返してみる。
「夜這い……朝這い?」
「単純にハグでいいじゃないですか。…ふふ。」
気持ちが軽い気がした。
結婚も、赤ちゃんのことも許しをもらえたからかもしれない。
考えることが結構ストレスだったのかも…
「さて…私は何か手伝いをしてきます。」
「いいよ。楓ちゃんお客さんなんだから。」
「いやいや…だって、その、あの…」
「ん?」
「……家族に…なるんですもん…」
「……。」
皆優しい人だし、1日にでも早く仲良くなりたい…
「…そっか。何か実感沸いて来たかも。」
「実感沸いてなかったんですか?」
「結婚は…結構考えてたけど。家族…か。」