課長と私
「楓ちゃんもまだお腹は出てきてないでしょ?なるべく圧迫しないようなドレス選んでさ、無理のないように短い時間でやるのはどう?」
「そんなこと…出来るんですか??」
「百合姉さんに任せなさい。後で聞いておいてあげるよ。楓ちゃんが安定期にはいったらやろうよ。」
わぁ…
百合さんが天使に見える…
嬉しさを隠せない私。
自然と口角が上がってくる。
「楓ちゃん、それでも良ければ…やる?」
「はい…!嬉しいです。」
まさか結婚式ができるなんて。
子育てがなんとなく落ち着いてからと考えていただけに幸せが胸いっぱいに広がる。
「式の話も良いけど、今はご飯よ。楓さんこのくらいで良いかしら?」
「あ、すいません。ありがとうございます。」
「じゃあ私は早速知り合いに聞いてきますっ」
「うわー、俺結婚式とか初めて。」
「その年で何回も経験あったらおかしいだろ。」
「そんなの分からないだろー、早い奴は高卒で結婚するくらいなんだからー」
「うちは絶対にないな。」
雅人くんも久しぶりの兄弟の会話を楽しんでいるようだ。
笑った顔が似てるな…
食事を済ませ、ホッとしたところで百合さんが戻って来た。
「お待たせしました。えっと…とりあえず、今回急な話だから大きい会場は抑えられなかったので家族と2人の仲良い人たちくらいしか呼べないけど…そこは大丈夫??」
「俺は大丈夫。楓ちゃんは?」
「あ、はい…大丈夫です!」
「了解。…じゃあ打ち合わせの日をこの日から選んでもらって………」
百合さんの段取りで急遽決まったこの式も順調に行きそうだ。