課長と私
「わぁ………綺麗。」
「変じゃないですか…?」
「変じゃないよ!楓ちゃんとーっても綺麗!これ、絶対良いよ!!」
「そ、そうですか?」
「写真!写真撮るね!」
私より百合さんの方が興奮している。
とっても良いお姉さんだ。
何枚か写真を撮り、今度は白色のドレスを見て回ることにした。
小さいころからウエディングドレスのイメージは白。少しだけ憧れもあった。
「いっぱいあるなぁ…」
「そうねぇ。あ、これなんてどう?」
「わぁ…素敵ですね、リボンが可愛い。」
「楓ちゃんは可愛いけど…綺麗めなやつの方が似合いそうね…うーん。」
「ふふふ…」
「あ…ごめんね、私が着る訳じゃないのに!」
「いえいえ…私のために、ありがとうございます。」
「亮が惚れ直すくらいのやつを選ぶわよ!」
一休憩してから、もう一度選び始める。
悩んで悩んで、2着まで絞り込み、試着をして写真を撮って…
百合さんと見比べてからようやく1着に決まった。
本当に式を挙げれるんだと思うとわくわくしてきた。
百合さんのおかげ。
「んー、やっぱりドレスを見ちゃうと少しだけ欲がわいちゃうなぁ…」
「欲?」
「結婚欲。…なーんて、相手いないけど。」
「わ、私…百合さんのドレス姿も見たいです…なんて。」
「ふふふ。ありがとう楓ちゃん。…前向きに考えてみようかな…」
思い当たる人がいるのだろうか。
帰りの車の中でハンドルを握る彼女の表情は和やかなものだった。